ラブ・ケミストリー

ラブ・ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

ラブ・ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

読みました。
著者は東大出身の製薬企業の研究員で大学時代の専攻は有機化学
タイトル通り有機化学の要素が散りばめられていて面白かった。
読んでて初めて知ることもたくさんあって、ビタミンB12の全合成をウッドワードがしたのとかは初めて知った。ウッドワードって有機化学ではかなり有名人らしいけど、あの複雑なビタミンB12を全合成!?すごーとか思ったり。
でも、肝心のストーリーはわたしはあまり面白いと思えなかった。ラブコメってこんななのかしら?研究ばかりの大学生が初めて恋をして、それがお決まり通りのお嬢様でって感じで…。一番よくわからなかったのはカロンという妖精か死神かなんかのよくわからない存在。記憶を消したり、性別を変えたり、何でもアリという感じ。どうしようもなくなったらカロンが出てきて、結局ハッピーエンド、無理やりハッピーエンドといったふうに。なんだか強引だなあと思った。でも、理系の人だし、現役の研究員の人が仕事の傍らこんな小説を書けるのはすごいと思う。何より有機化学の要素がふんだんに入っていながら難しくなっていなくさらっと読めるのが楽しい。これからも化学ベースの小説を出してくれるのが楽しみ。化け学小説家として応援したいです。